塾内向けイベント:図書館情報学国際セミナー「米国大学図書館司書のキャリアパス」(10月1日)(終了しました)

最終更新日: 2024年10月07日

  • 日時:10月1日(火)16:45~18:00
  • 会場:慶應義塾大学三田キャンパス南校舎446教室
  • 講師:中村充孝氏(ハワイ大学マノア校アジア研究図書館日本研究司書)

開催趣旨

欧米の大学の中には、図書館にサブジェクト・ライブラリアン(専門司書・研究司書)と呼ばれる研究支援のための職種を置いているところが多くあり、日本文化研究の支援を専門とする司書も各地で活躍しています。このたびは、ハワイ大学マノア校にて日本研究司書を務める中村充孝氏をお招きしてご講演をいただくことになりました。

中村氏は、映像ディレクター等を務めた後、ニューヨークのコロンビア大学図書館でカタロガーを務め、その後、ワシントン大学セントルイス校の日本研究司書を経て現在のポジションに就かれました。今回は、日本研究司書になるに至る道程や、米国大学図書館での仕事の面白さなどについてお話をおうかがいします。

図書館情報学国際セミナー「米国大学図書館司書のキャリアパス」(10月1日)開催報告

10月1日に開催されたこのセミナーでは、学部生・大学院生に加えてメディアセンターの方々も参加し、中村氏のこれまでのキャリアと司書という仕事に出会った経緯、そして、特に前職のワシントン大学セントルイス校やハワイ大学ハミルトン図書館における日本研究司書としての様々な取組みについてのお話をおうかがいしました。この仕事の意義と魅力について存分に紹介していただき、楽しく意義の深い会合となりました。参加者の方々からは多くの建設的な感想をいただきましたので、そのうちのいくつかを以下にピックアップしました。これらを通じて当日の雰囲気を感じていただけますと幸いです。

●「サブジェクト·ライブラリアン」という職業とその役割について深く知り、関心を持つようになったセミナーでした。ある特定分野に特化しているサブジェクト·ライブラリアンが図書館に存在することで、その図書館の所蔵資料がより豊かになり、よりアイデンティティの確実な図書館になれると思いました。 ハワイ大学の日本コレクションを紹介していただいた今回のセミナーから特に「オンライン」と「デジタル(デジタル化)」、「国際化」についての話が印象に残りました。何十年、何百年前のコレクションをデジタル化できることから図書館業界における効率化と時代に応じての変化を感じることができました。また、図書館における電子書籍の提供やデジタル資料の提供について説明してもらい、それに関する規制や問題点についてもう一回考えてみることができました。電子書籍やデジタル資料の提供が可能になり、誰もが時間と空間に関係なく必要な資料を手に入れることができるようになった点からも図書館業界における国際化を感じることができました。(図書館情報学専攻 2年 Y.A.)

●実際に司書の方のお話を聞く機会もなかなかなく、ましては海外の図書館で活躍されている司書の方の活動を聞けるのは大変貴重でした。 自分自身、正直中村さんも冒頭で投げかけていたように司書の仕事はデスクワークが中心で地味な仕事という勝手なイメージを持っていたのですが、実際に数々の会議やワークショップなどに足を運んで情報を集めるなど非常に活発な内容であるということに非常に驚きました。また、ハワイで保管されている川端康成の作品などの貴重な書物を扱えるというのも司書の魅力であると感じました。(図書館情報学専攻 2年 Y.T.)

●アメリカで働くことを考えたことはなかったのですが、図書館・情報学はアメリカの方が発展しているということを思うと、一度は働いてみたいと思うようになりました。(図書館情報学専攻 3年 R.Y.)

●貴重なお話をありがとうございました。大学図書館の司書はレファレンスだけではなく、多岐にわたるお仕事があるのだと知りました。お話の中で何度も人との繋がりの大切さについておっしゃっており、私も積極的にそのような場に行きたいと思いました。(図書館情報学専攻 4年 M.K.)

●セミナーを受講しまして、中村さんがこれまでにお仕事を通じて色々な経験をされたこと、そして、そこから湧き上がった知的好奇心を大切にして学問に力を注いだことが伝わりました。私も社会人を15年経験して大学院へ進んできたため、共感するところが多く、これからのキャリアパスを考える上でとても参考になりました。中村さんの言葉で一番励まされたのは、米国では司書に定年はないという言葉です。私もこの道を長く歩いて行けるよう精進したいと思います。中村さんをロールモデルにがんばりますので、またいつかお会いできますように。今後のご活躍を祈念しております。(修士課程 情報資源管理分野 1年 S.K.)

●このたびは貴重なご講演をありがとうございました。他業種の経験があり,図書館業界の経験が浅いまま本学に進学した者として,中村様のキャリアや行動力に感服するとともに,たいへん勇気をいただきました。お仕事内容の広範さや内容はどれも興味深く,ワクワクしながら拝聴した次第です。

また,図書館業界における海外就職について「ハードルはそう高くはない」ことを強調されていた点が印象的で,中村様をはじめ道を切り拓き門戸を開いてくださっている先達の存在・ネットワークに改めて勇気をいただきました。本講演が私の明日からの学生生活の糧となり,視野を広げてくださったこと,改めて心より感謝申し上げます。(修士課程 情報資源管理分野 1年 A.A.)