ゼミ紹介

岸田ゼミ

担当教員
岸田和明

教員の主たる研究テーマ・研究領域

主たる研究領域は「情報検索」「テキストマイニング」です。これまで、言語横断検索(検索質問と文献の言語が異なる場合の検索)や、検索結果の評価手法(指標やそのデータ解析法)を中心に研究してきました。より最近では、検索を応用目的とした自動分類(文書クラスタリング)について関心があり、スケラブルな(大規模な文書集合に適用可能な)クラスタリングの方法の開発に取り組んでいます。近年、情報検索の研究領域は、自動分類や自動要約、情報抽出などとも関連しつつ、大きな広がりを持つようになっています(これが「テキストマイニング」として括られています)。これらの技術を応用した実際的な電子図書館システムや電子文書管理システムを探究していくこともまた重要な研究テーマであると考えています。

ゼミの運営方針

3年次のゼミでは、研究の方法論(資料検索法・論文執筆法・プレゼンテーション法など)を身につけることを目的として、ゼミを進めます。具体的には、各自で「仮の」卒論テーマを決めて、関連文献の検索や研究計画の策定を体験します。また、オンデマンド教材により、テキストマイニングの技術とそのPythonでの実装を学習します。4年次のゼミでは、各自の卒業論文の指導を行います。

ゼミ生に希望すること

情報の「組織化」(目録・メタデータ)や「検索」、「テキストマイニング」に関心を持った学生に志望してもらいたいと考えています。また、「情報探索行動」でも構いません。

ゼミの志望者が多かった場合の選考方針

定員超過の場合、「情報検索概説Ⅰ」「情報処理技術」の学修状況を参考に、選考します。

今までの卒業論文や期待する卒業論文のタイトルの例

昨年度までのテーマ一覧はhttps://sites.google.com/keio.jp/kkishida/の「ゼミのページ」にあります。最近では、情報検索やテキストマイニングに関する実験(PythonやR、Javaを使用)か、情報探索行動に対する統計分析(消費者行動論の応用など)のどちらかから卒論テーマが選ばれています。ちなみに、過去のテーマのうち、ゼミの内容と合っているものは以下の通りです。

  • 料理レシピの推薦方法についての比較実験
  • 購買意思決定における消費者発信情報と企業発信情報の選好
  • 機械学習手法に基づく特許資料の自動分類
  • ソーシャルタギングにおけるタグ推薦システムのための画像のクラスタリング
  • ソーシャルブックマークを用いたウェブコンテンツ推薦システムの改善
  • 多様な検索項目を備えた絵本データベースシステムの開発
  • 就職活動における情報探索行動に影響を与える要因
  • 日本のニュース記事を対象としたトピック検出の実験
卒論のテーマは自分で決めてもらっているため、さまざまなものが選ばれていますが、ここに例示したようなテーマがこの研究会には最も合っています。

池谷ゼミ

担当教員
池谷のぞみ

教員の主たる研究テーマ・研究領域

私は,組織や社会集団において知識を配分・再配分するしくみを,その下での人々の知識マネジメントの実践と関係付けて理解し,そのしくみのデザインのあり方を考察することに関心があります。集団や組織には,人々が実現したいことや課題の解決を実現できるように、知識を配分・再配分するためにデザインされたしくみが種々あります。たとえば図書館,報道機関,教育機関などのように、人々が知識を得ることを一義的な目的とした,情報メディアを内包する制度とサービスがあげられます。他方,たとえば医療機関など一義的には人々が知識を得ること以外の行為を支援するしくみにも,知識の配分・再配分のしくみは埋め込まれています。いずれにしろ、インターネットの導入とデジタル化,分業の複雑化が進むなかで,知識が配分・再配分されるしくみとその下での実践は変わりつつあります。ゼミでは,具体的な対象として選んだしくみがどのようにデザインされていて,それをどのように人々は使って知識を配分ならびに利用しているのか,インターネットの下でどのような変化のなかにあるのか、文献でこれまでの経緯を踏まえながら調査研究をすることが中心となります。
「情報メディア」のテキスト分析、「情報行動」「情報サービス」「レファレンスサービス」、図書館やミュージアムにおける参加型のプログラムについて、「プログラム(サービス)デザイン」の観点から関心がある方を特に歓迎します。

ゼミの運営方針

ゼミ生は自分で研究テーマを選び計画をたてて着実に進めることが求められます。ゼミ自体も学生が協力して主体的に運営していくなかで,教員が助言をしていく形態です。ゼミ生は,各自で研究を進め,複数回の発表を通して互いに議論し,研究テーマを深めていきます。研究への自立的な取り組みと議論への参加が評価の対象となります。

ゼミ生に希望すること

すでになされた研究を踏まえつつも,フィールドワークやテキスト分析などを通じて人々の実践に目を向けてみよう,という指向がある人を特に歓迎します。

ゼミの志望者が多かった場合の選考方針

私の授業を履修した人で関心を持った方を優先します。

今までの卒業論文や期待する卒業論文のタイトルの例

過去に指導した論文には以下のようなものがあります。

  • 女性議員に関する新聞記事の変遷 :衆議院議員選挙が行われた年における全国紙の分析
  • Wikipediaの協働編集過程:福島第一原子力発電所事故の日英比較
  • Q&Aサイトにおけるがん患者・家族の情報探索:質問回答の分析
  • 映画鑑賞者の情報行動
  • 大学生のニュースへの関心と接触における情報メディアの位置づけ
  • ライフステージの変化に伴う若者のテレビ番組視聴
  • ウィキペディアタウンと図書館
  • 公共図書館におけるボードゲームサービスの意義と課題
  • 公共図書館のリクエスト選書における資料に対する判断
  • 大学図書館における交流を通じた学びの創出
  • 震災アーカイブの活用について:「わすれン!」の事例から
  • 東日本大震災の集合的記憶を継承する取組

安形ゼミ

担当教員
安形麻理

教員の主たる研究テーマ・研究領域

写本から印刷本,電子書籍に至るまで,本とそれをとりまく領域に広く関心を持っています。本を中心とする情報メディアの物理的な特性(書誌学)や,本と社会の関わり方(書物史),人が本をどのようなものだと考え,どのように読んでいるのか(読書史、読書論),本をどのように保存し公開,活用していくのか(デジタルアーカイブ,資料保存)といったことを研究しています。とりわけ,印刷が始まった15世紀の印刷本(インキュナブラ)を対象に,物理的な特徴の変遷や印刷工程の解明、活字の識別,写本の伝統の継承と印刷本独自の変化などの切り口で、デジタル画像やコンピュータを活用した書誌学的な分析に取り組んでいます。

ゼミの運営方針

それぞれのゼミ生が興味のあるテーマを見つけ,調査の過程や結果を報告し,議論するなかで自分の研究を深めていけるように、私は全体を通して適宜助言します。3年生のゼミでは,テーマの設定,論文の探索とまとめ,調査の計画と実施,分析,効果的な図表の使用,口頭発表という一連の流れを,個別およびグループワークによる演習形式で行います。4年生では卒業論文の指導を行います。

ゼミ生に希望すること

「情報メディア」や「本」,「読むこと」,「デジタルアーカイブ」,「資料保存」にまつわる関心を持った学生を特に歓迎します。

ゼミの志望者が多かった場合の選考方針

私の授業を履修して興味をもってくれた(と私が判断した)方を優先します。

今までの卒業論文や期待する卒業論文のタイトルの例

特に興味深く指導することができた卒業論文の一部は以下の通りです。

  • 全国の文化機関におけるデジタルアーカイブの二次利用条件
  • 物語絵本における紙とデジタルの比較
  • 現代におけるブックカバーの多様性
  • オンライン書評の利用行動
  • 子ども時代の家庭の読書環境と読書の習慣化の関係
  • 日本の大学図書館における貴重書デジタルアーカイブの特徴と傾向
  • 都道府県立図書館における特殊コレクションの受入の経緯とその後
  • 図書館における大人のためのおはなし会の現状
  • メディア環境の変化と同人活動

松本ゼミ

担当教員
松本直樹

2024年度のゼミ生募集はありません

教員の主たる研究テーマ・研究領域

主な研究領域は公立図書館に関わる制度と経営です。特に関心を持って研究してきたのは,公立図書館におけるサービスや管理技術の形成過程です。また,サービスのあり方にも関心を持っています。これまで,公立図書館や学校図書館で様々なサービスが広がっていく背景にある仕組み,具体的には図書館員同士の人的なネットワークなどについても研究をしてきました。

ゼミの運営方針

今年のゼミでは,地域の図書館から課題を出してもらいグループに分かれて調査,研究を進めてもらいます。その中で,以下のような学修を進めます。

  • 文献の読み方
  • リサーチクエスチョンの立て方
  • データの収集方法
  • 研究成果のまとめ方(プレゼンテーション・執筆)

ゼミ生に希望すること

主体的に卒論に取り組むことを期待します。卒論に向けて,自らテーマを設定し,調査・情報収集を行い,論文を執筆し,最終的に完成させることになります。こうした過程すべてにおいて主体的に考え,積極的に取り組むことが重要です。教員はそれをサポートします。

ゼミの志望者が多かった場合の選考方針

私の担当する授業を履修し,関心をもって取り組んだと考えられる方を優先します。

今までの卒業論文や期待する卒業論文のタイトルの例

日本におけるアジアの図書館に関する文献の特徴

  • 公立図書館におけるベストセラー図書の所蔵の変化
  • 特定機能病院における患者図書室の実態調査
  • 森鴎外作品の文体的特徴
  • 漫才におけるおかしみの類型化:M-1グランプリを対象に
  • 利用者の経路探索行動からみたサインの有効性について
  • 公共図書館におけるゲームイベントの広がり
  • サピエ図書館における医療健康情報の特徴
  • 公立図書館による小学生用ブックリストの実態
  • 公共図書館におけるレファレンスブックの使用と所蔵

永崎ゼミ

担当教員
永崎研宣

教員の主たる研究テーマ・研究領域

主たる研究領域は「デジタル・ヒューマニティーズ(人文情報学)」という分野です。そのなかでも、デジタル技術を活かした研究環境を構築するための技術開発や国際標準規格の策定に関わってきました。そして、どちらかと言えば、仏典を中心とした東アジアの文献を扱うことに力を入れています。このような仕事は、学術研究基盤形成の一部をなすものであり、日本では主に研究として扱われますが、欧米では「研究図書館」の業務として所蔵資料の利活用性を高める目的で取り組まれることも多いものです。図書館(だけでなく様々な文化機関)の所蔵資料をより深く理解し広く活用されるために、各研究分野の方法論を分析し、それを踏まえた技術開発や国際標準規格の策定を行うことは、デジタル化とグローバル化が急速に進展する人間文化研究において、日本が国際的に貢献し得る有力なシーンの一つです。

ゼミの運営方針

本年度は、私は本学では初めてのゼミとなりますので、やや手探り状態で進むことになります。基本的には、資料を探し・論文を書き・プレゼンテーションを行う、という基礎的な所作を身につけることを目指します。内容としては、図書館などのデジタル化資料を活用するための手法について学び、できれば何らかの簡素なツールを開発できるようになってもらうことを目指してみたいと思っています。

ゼミ生に希望すること

図書館・文書館・博物館・美術館などのデジタル化資料や資料そのものに関心をもち、さらに、小さくてもいいので、それを広く活用してもらう場に役立つツールを作ってみること、そして、それについて言葉で説明することに関心を持っている人に来てもらいたいと思っています。

ゼミの志望者が多かった場合の選考方針

定員超過の場合,私の授業を履修して、授業の課題等から実際に興味を持ってくれていると思われる方を優先します。

今までの卒業論文や期待する卒業論文のタイトルの例

卒業論文は本学ではまだ担当したことがないので、ここしばらく、大学院生や若手の研究者と共同で出した論文のタイトルを挙げておきます。(詳しくは https://researchmap.jp/knagasaki をご覧ください。)

  • 勅撰和歌集の構造化と提示手法に関する試み ―嘉禄二年本『古今和歌集』を事例として―
  • TEIに準拠した近代短歌テキストのマークアップ手法の提案
  • 複数の解読情報を並存させた中国出土資料のテキストデータ化とその展望
  • モチーフ語の共起ネットワークを用いた展覧会キュレーションの比較分析
  • 近代短歌全文テキストデータベースの構築
  • 一次史料における時間的コンテキストを含む社会関係記述モデルの提案と実践
  • 仏教思想の概念体系の記述手法としてのTEI マークアップの現状と課題
  • 相互運用性を高めた日本歴史資料データ実装:『延喜式』TEI とIIIF を事例として
  • 『續一切經音義』からみる漢文文献の TEI マークアップの課題
  • 18世紀パリ王立科学アカデミー集会の出席会員分析に向けたデータ構築と可視化
  • 時間的文脈情報を含む社会ネットワーク記述のためのデータモデル設計と一次史料を用いたデータ構築の実践:カエサル『内乱記』を事例に

福島ゼミ

担当教員
福島幸宏

教員の主たる研究テーマ・研究領域

主な関心領域は、デジタルアーカイブや博物館・図書館・公文書館の連携(MLA連携)です。情報環境が日々変化する中で、社会にとって重要な情報や資料をどのように遺し、どのように活用していくのか、を研究活動の原点と考えています。もっとも、デジタルアーカイブという考え方や仕組み自体がまだまだ発展途上のものです。いろいろなことが試せる領域だと考えています。

また、地方公務員として博物館と文書館の複合館や図書館に勤務していた視点から、実践とどう切り結ぶか、を常に念頭において議論を深めたいと考えています。

ゼミの運営方針

学生が協力して運営することを望みます。教員は助言者として参加することになります。みなさん自身が研究をすすめ、相互に議論をするなかで、テーマを深めて行くことを望みます。

ゼミ生に希望すること

デジタルアーカイブや博物館・図書館・公文書館の連携、資料保存について関心を持つ方を歓迎します。また、ゼミでは様々な情報を咀嚼しながら、疑問に思うこと、考えていることを積極的に教員に投げかけてください。

ゼミの志望者が多かった場合の選考方針

私の担当する授業を履修し、その授業に対して積極的に取り組んだと私が判断した方を優先して選考します。

今までの卒業論文や期待する卒業論文のタイトルの例

2024年度秋学期から3年生ゼミを持ち、2025年度にはじめて卒論の指導をすることになります。そのため、卒業論文の紹介はできません。